企業が取り組むべきウェルビーイングとは?経営トレンドを交えて紹介

「ウェルビーイング経営って何?」
「企業の取り組み事例を知りたい」

管理職やマネジメントをしている女性の中にはこのような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ウェルビーイングとは、身体的な健康はもちろん、精神的・社会的にも良好な状態であることを意味する概念です。

2019年より提唱されている「働き方改革」やワークライフバランスの重要性が見直される中、「ウェルビーイング」という考えが注目を集めています。

また、ウェルビーイングを追求することは、働く人だけではなく、企業の管理職や経営層にとっても大きなメリットがあります。

本記事では、ウェルビーイング経営の概念や健康経営との違い、企業の導入事例を紹介していきます。

ウェルビーイングの全体像を知り、経営に活かすためのポイントについて把握しましょう。

1.ウェルビーイング経営の概要

ウェルビーイング経営とは、ウェルビーイングの考え方に基づき、企業の利益を追求するだけでなく、経営に関わるすべての人の健康と幸福を目指す経営です。

企業は労働環境の改善に力を入れる一方で、さらに従業員の心身の健康や安全な職場づくりにも注力しています。

ここでは、ウェルビーイング経営の概要やウェルビーイングを構成する5つの要素について解説していきます。

ウェルビーイングおよびウェルビーイング経営について理解を深めたい方はぜひ参考にしてみてください。

(1)ウェルビーイング経営について

ウェルビーイングとは、体も心も健康で美しく、精神的にも満たされた状態で、心豊かに人生を楽しむことを指しています。

「嬉しい」や「楽しい」などの一時的な幸福感ではなく、充実した人生・生き方に重点を置く持続的な幸福を表す概念です。

ウェルビーイングを経営にも取り入れることで、従業員の肉体的・精神的・社会的な側面から満足できるような環境を提供することができるため、従業員のエンゲージメントの向上にもつながります。

エンゲージメントとは、もともとは契約や約束などを意味する言葉ですが、ビジネスの場では、主に従業員が会社に対して抱く愛着や思い入れなどの意味で使用されます。

エンゲージメントの向上は、従業員の企業に対する貢献意欲や生産性の向上につながるため、従業員エンゲージメントの向上は、経営における重要課題の一つとして注目されています。

ウェルビーイング経営は、企業の利益だけでなく従業員の幸福を重視する経営の考え方です。

具体的には、柔軟な勤務体制やワークライフバランスの重視、健康およびメンタルヘルス管理などを通じて、従業員の心身と社会的な満足感を高めます。

また、2021年9月の「第1回日経Well-beingシンポジウム」では、ウェルビーイング経営を以下のように定義しています。

「事業を通じてすべてのステークホルダーの充実や幸せ実感を向上させることにより自社の成長と持続可能な社会の実現を目指す経営」

すべてのステークホルダーとあるように、ウェルビーイング経営の対象は社員にとどまりません。例えば、製品やサービスをつくる際に、設計の段階でウェルビーイングの観点を取り入れ、顧客のウェルビーイングの実現につながるものが提供できれば、その経営は顧客のウェルビーイングにも寄与することになります。

また、ウェルビーイング経営が軌道にのれば、業績が伸びるだけでなく、企業はその社会的責任を果たすことができ、企業価値が高まります。

そうすれば、経営者や株主のウェルビーイングも向上するでしょう。ウェルビーイング経営は、事業に関わるすべてのステークホルダーのウェルビーイング向上を目指す経営です。

つまり、ウェルビーイング経営の対象は従業員にとどまらず、企業経営に関わるすべてのステークホルダーまで視野に入れています。

ウェルビーイング経営は健康経営を包摂するより広い概念と捉えることが重要です。

本コラムでは主に従業員の視点からウェルビーイング経営に焦点を当てています。

ウェルビーイング経営に取り組むことにより、従業員エンゲージメントが向上し、組織全体の持続的な競争力と生産性向上につながることが期待できます。

ウェルビーイングについては、以下の記事でより詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

ウェルビーイングとは?その効果と実践方法やビジネスでの事例を紹介

(2)ウェルビーイングを構成する5つの要素

ウェルビーイングという概念には、それを構成する要素があります。

ここでは、アメリカの世論調査会社であるギャラップ社によって定義されたウェルビーイングを構成する5つの要素についてご紹介します。

ウェルビーイングを構成する5つの要素

  1. Career Well-being(キャリア・ウェルビーイング)
  2. Social Well-being(ソーシャル・ウェルビーイング)
  3. Financial Well-being(ファイナンシャル・ウェルビーイング)
  4. Physical Well-being(フィジカル・ウェルビーイング)
  5. Community Well-being(コミュニティ・ウェルビーイング)

それぞれについて見ていきましょう。

#1:Career Well-being(キャリア・ウェルビーイング)

キャリア・ウェルビーイングの「キャリア」とは、仕事だけでなく、人生におけるすべての構成要素を指します。

そのため、家事や育児など「人生におけるキャリア」まで含めた広範な概念を指します。

つまり、1日の大半を占める仕事や私生活について、情熱を持って取り組んでいる状態こそがキャリア・ウェルビーイングを高めるために必須であるといえるでしょう。

1日の活動に自分が満足しているかはもちろん、ワークライフバランスに満足しているか、といった点も重要なポイントです。

SBMラボでは、この点を踏まえて、キャリアと人生を決めるのは自分自身だということを自覚し、自分のキャリアと意思に沿って、「体と心の美の翼(ウェルビーイング)」を授けることにより、今までにない生産性とキャリアのイノベーションを実現する概念として位置づけています。

つまり、理想的なキャリア・ウェルビーイングとは、自らの意思に基づいて、仕事・子育て・趣味・家庭生活などのすべてのバランスが調和した状態を指すといえるでしょう。

#2:Social Well-being(ソーシャル・ウェルビーイング)

ソーシャル・ウェルビーイングとは、良好な人間関係を表します。

人は信頼でき、尊敬しあえる人間関係を構築することにより、満足感を得られます。

また、人は社会的な動物のため、幸せや不幸は他人に伝染していきます。

つまり、周囲の人が幸福を感じている場合には自分も自ずと幸福を感じることができ、自分が幸福を感じている場合には周囲の人によい影響を与えることができます。

このことは、私生活にとどまらず、仕事や職場環境に対しても同じことが言えるでしょう。

ソーシャル・ウェルビーイングが順調であると、上司や部下、同僚とストレスなく関わることができます。

家族や友人はもちろん、職場の仲間などと信頼や愛情を築くことができているかが指標になります。

#3:Financial Well-being(ファイナンシャル・ウェルビーイング)

ファイナンシャル・ウェルビーイングとは、経済的な幸福度を指します。

例えば、自身で生計を得て、資産を管理できている状態です。

単に収入を得るだけではなく、その手段や収入額に満足しているかなども、経済的な幸福度に関係しています。

つまり、収入を得るための仕事の内容や働き方に満足しているかどうかも、ファイナンシャル・ウェルビーイングを高めるための要素といえるでしょう。

また、ウェルビーイングは持続的・継続的な幸福を追求することを目的とする概念でもあるため、現在および将来に対する資産形成が重要な意味合いを持つことになります。

そのため、支出や収入の状況を把握し、将来にわたる資産の管理・形成も重要な要素として挙げることができます。

SBMラボでは、ウェルビーイングのためのセミナーを定期的に開催しています。

長年金融業界で活躍し、SBM美容法を軸としたウェルビーイングの啓発活動を行っている講師が、「美容」と「投資」という二つの自己資産を効率的に形成するためのテクニックをセミナーを通じて伝えています。

限られた時間の中で、効率的に美と資産を育みたい方におすすめです。

#4:Physical Well-being(フィジカル・ウェルビーイング)

フィジカル・ウェルビーイングとは、心身が健康な状態を指します。

ストレスや病気に悩まされることなく、適度な睡眠や運動などを通じて健康的な状態にあることが本来的な意義と言えます。

また、ビジネス面に関して言えば、身体的な健康だけでなく仕事に意欲的に取り組めるモチベーションが維持できている状態かどうかも、フィジカル・ウェルビーイングに含まれます。

そのため、企業の経営という観点からは、労働時間の管理や労働環境の見直しをすることで、従業員の心身の健康を保つことができ、仕事へのモチベーション向上につながります。

個のウェルビーイング向上に貢献できる企業は持続可能な成長を実現することができ、社会からも評価されることにつながる点において、非常に重要です。

#5:Community Well-being(コミュニティ・ウェルビーイング)

コミュニティ・ウェルビーイングとは、地域社会における幸福度を指します。

具体的には、職場などのビジネスの場面だけでなく、家族や友人との関係などのプライベートな環境での幸福度も含まれます。

また、ビジネス面では、職場のような内的環境はもちろん、取引先といった外的環境など、複数のコミュニティが存在します。

コミュニティ・ウェルビーイングを考える上では、それらすべてのコミュニティ内で良好な関係を構築できており、それによって満たされていることが重要です。

職場や家族、友人関係などの自身が所属しているコミュニティにおいて幸せだと感じているかが指標となります。

そのためには、社会活動や地域活動に参画するほか、ボランティアなどの行動を通じて、自分自身の幸福度が向上するような取り組みを行うこともポイントです。

2.ウェルビーイング経営と健康経営の違い

ウェルビーイング経営と比較される経営手法に「健康経営」があります。

従業員の心身の健康を目指すウェルビーイング経営を、健康経営と混同してしまう方も多いかもしれません。

健康経営について、経済産業省は「健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的に考え、戦略的に実施すること」と定義しています。

参考)https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

ウェルビーイング経営と健康経営は、経営において従業員の心身の健康を重要指標とし、健康の管理・増進に取り組む点では同じです。

しかし、視点や目指す状態に違いがみられます。

具体的には、以下のようにまとめることができるでしょう。

ウェルビーイング経営 健康経営
視点 従業員視点 企業視点
施策の方向 ボトムアップ型 トップダウン型
目指す状態 身体的・社会的・精神的に満たされた状態 身体的な健康

ウェルビーイング経営は、従業員視点で健康の充実を掲げ、従業員からの意見をもとに上層部が意思決定するボトムアップ型で施策を推進していきます。

さらに、ウェルビーイング経営では、健康の先にある幸福や従業員の満足度に焦点が当てられています。

具体的な取り組みとしては、定期的な健康診断などの健康面での支援に加えて、労働環境や福利厚生の整備、ストレス管理やコミュニケーションの活性化などを推進し、メンタルヘルスの改善やエンゲージメント向上に取り組みながら、心身だけでなく社会的な幸福度の向上を目指します。

一方で、健康経営は企業の視点から従業員の身体の健康管理に配慮して経営的なメリットを得るのが目的であり、施策の開始や決定は上層部がイニシアティブをとることが一般的です。

また、従業員一人ひとりの幸福を追求することまでを目的としていない場合が多いため、従業員が目的意識を持ちながら仕事にやりがいを感じて取り組むためには不十分な点もある施策といえます。

このように、ウェルビーイング経営では、従業員一人ひとりの健康状態を向上させることにとどまらず、個人の幸福度や満足度の向上までを施策の目的とするところに大きな特徴があるといえるでしょう。

3.ウェルビーイング経営が注目されている理由

上述したように、ウェルビーイング経営は従業員一人ひとりの健康と幸福度の双方を維持・向上させることを目的とした施策といえます。

このような施策が注目を集めている背景には、以下のような事情があります。

ウェルビーイング経営が注目されている理由

  1. 人的資本の重要性
  2. 人員不足の深刻化
  3. 価値観の多様化
  4. 新型コロナウイルス感染症の拡大

それぞれについてご説明します。

(1)人的資本の重要性

ウェルビーイング経営が注目されている理由のひとつに人的資本の重要性があります。

人的資本とは、個人が生まれながらに持つ才能や能力だけでなく、経験などによって得た知識やスキルなども含めた概念です。

近年、持続可能な社会を目指す取り組みが世界的に注目されており、「多様性の尊重」や「エンゲージメント」といった人に焦点をあてた指標を重視する経営が注目されています。

中でも、人的資本はESG投資での判断要素の一つとして考えられています。

ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の単語の頭文字をつなげた言葉であり、環境や社会に考慮して事業を行っており、適切な経営をしている企業に投資をすることを表します。

つまり、人的資本を重視することで、投資額の増加や企業ブランディングにつながることも期待できます。

このように、人的資本を重視した経営を行うことは、社会における企業の価値を高めることの大前提とも言うことができるでしょう。

その意味で、人的資本は企業の付加価値の源泉となるとも言えます。

(2)人員不足の深刻化

日本は、高度経済成長期を経て、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少に直面しています。

生産年齢が減少し続ける日本では、労働力不足への対応が喫緊の課題です。

終身雇用など従来の雇用制度の継続が困難になりつつあることや、人材の流動化が進んでいるため、人員の確保はますます厳しくなっています。

限られた人員で業績を伸ばすためには、従業員の仕事に対するモチベーションを高め、生産性の向上を図ることが重要です。

また、そのような環境や仕組みづくりを進めることは、従業員のエンゲージメントを高め、長く働いてもらうことが期待でき、離職率を抑制することにもつながります。

さらに、労働環境の改善等に取り組むことで、優秀な人員を確保できることも期待できます。

このような観点から、企業がウェルビーイングを意識した労働環境を整えることが不可欠になっていることもウェルビーイング経営が注目を集める要因といえるでしょう。

(3)価値観の多様化

価値観の多様化が急速に進んでいることもウェルビーイング経営が注目される理由の一つです。

近年、採用活動においてもダイバーシティ(多様性)の考えが取り入れられるようになってきました。

人員不足が深刻化する中で、多くの企業は国籍・人種を問わずに優秀な人員を確保することに注力しています。

その一環として、様々な価値観やバックグラウンドを持つ従業員が活躍できるように環境を整えることが意識されるようになりました。

具体的な取り組みとしては、外国人労働者の積極雇用や高齢者の再雇用、育休・産休取得後の職場復帰を推進する取り組みが挙げられます。

従業員が持つ多様な価値観を企業が受け入れることで、従業員は働きがいや職場環境への満足感を抱くことができ、これまで以上にやりがいや幸福感を得ることができます。

従業員が職場や企業に対して抱く信頼や愛着を形成することは、優秀な人員の確保や離職率の抑制、新たなイノベーションなどのメリットを企業が享受することにもつながるのです。

(4)新型コロナウイルス感染症の拡大

新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの企業の労働環境に与えた変化もウェルビーイング経営に注目が集まった要因として挙げることができます。

リモートワークや時差出勤が推進され、時間や場所に制約されることなく働ける環境が整備された一方で、従業員どうしのコミュニケーション不足が新たな課題として言及されるようになりました。

働き方の多様化により、孤独感や閉塞感を抱える従業員が増え、健康管理やメンタルヘルスへの影響が問題視されるようになったのです。

そのため、企業は働き方の多様性を推進しつつ、従業員の身体的・精神的な健康状態を維持する環境を整備していく必要があります。

各企業が定期的なストレスチェックや労働環境の改善を通じて、社員の健康維持とやりがい創出に向けて、ウェルビーイング経営に取り組むことが重要です。

4.ウェルビーイング経営を実践するメリット

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

ウェルビーイング経営を実践するメリット

  1. 従業員の幸福感の向上
  2. 生産性の向上
  3. 離職率の低下
  4. 優秀な人員の確保

それぞれについてご説明します。

(1)従業員の幸福感の向上

ウェルビーイングの目的は、従業員が心身ともに健康であり、幸福を追求することにあるため、ウェルビーイング経営を行うことで従業員の幸福感の向上が見込めます。

例えば、柔軟な勤務体制やワークライフバランスの重視、健康とメンタルヘルス管理などを通じて、従業員の心身の健康および社会的な満足感を高めることが可能です。

企業がしっかりとウェルビーイング経営に取り組むことで、従業員が働きやすい職場環境を整えることができ、幸福感および仕事へのモチベーションの向上が期待できます。

(2)生産性と創造性の向上

ウェルビーイングにより、従業員のやりがい、働きやすさが向上すると、ワーク・エンゲージメントが向上します。

ワーク・エンゲージメントとは、従業員が仕事に対して抱く熱意や活力が充実している心理状態のことです。

企業がウェルビーイングに積極的に取り組むことで、従業員のモチベーションやワーク・エンゲージメントが向上します。

これらが向上することにより、従業員が仕事にやりがいを感じ、自発的に取り組むことによって、生産性の向上につながります。

また、幸福度と社員のパフォーマンスや従業員エンゲージメントとの密接な関係がわかっています。

例えば、幸福度の高い従業員の創造性はそうではない社員に比べて3倍、生産性は31%、高いというデータがあります。

組織的に取り組むことによって、従業員全体の生産性を高め、企業の競争力強化にもつながることが期待できるでしょう。

(3)離職率の低下

ウェルビーイング経営をうまく取り入れることで、従業員にとって居心地の良い職場環境を提供することができ、そのことが離職率の低下につながります。

従業員が退職する理由の多くは、人間関係や労働環境の厳しさなどです。

企業がウェルビーイングに取り組み、仕事における人間関係や労働環境の問題を解決することで、離職率の低下だけでなく、従業員の定着率の向上も望むことができます。

(4)優秀な人員の確保

従業員の幸福度を重視するウェルビーイング経営を推進することで、世間が企業に対して抱くイメージの向上が期待でき、それによって優秀な人員獲得の可能性が高まります。

企業イメージが向上することで、多くの応募者が見込まれ、即戦力となる優秀な人員を獲得できる可能性が高まります。

ウェルビーイング経営を積極的に推進することで、従業員一人ひとりのポテンシャルを最大限に発揮できる環境を整えることができ、顧客との関係性向上だけでなく、優秀な人員の確保ができるなど企業自体の価値向上につながります。

5.ウェルビーイング経営を実践している企業事例

ウェルビーイングの実現は、企業においても重要です。

実際に従業員のウェルビーイング向上を実現するために、さまざまな取り組みを行っている企業があります。

ウェルビーイング経営を実践している企業事例

  1. ロート製薬株式会社
  2. 株式会社デンソー
  3. イケア・ジャパン株式会社
  4. 明治安田システム・テクノロジー株式会社

それぞれの企業の取り組み事例についてご紹介します。

(1)ロート製薬株式会社

ロート製薬株式会社では、ウェルビーイング経営が会社成長の源泉であるという考えのもと、健康への取り組みを積極的に行っています。

また、従業員のウェルビーイングを高めていく環境の中で、会社から与えられたものをただ受け入れるだけでなく、社員からも自発的に提案・発信をしていけるような環境を目指しています

主な取り組みは、以下の通りです。

ロート製薬株式会社での主な取り組み

  • ロートネーム
  • 社外チャレンジワーク
  • ARUCO
  • とこチャレ
  • 運動会

社員同士が「ロートネーム」で呼び合い、親しみやすい関係の構築するほか、社外や部署を超えた多彩な経験を奨励しています。

また、運動機会の増進のためにウォーキングイベントや運動会、体力測定などを定期的に開催し、健康社内通貨「ARUCO」を導入。

歩行などによってARUCOコインが獲得でき、実績によってはヘルシーランチや健康グッズ、休暇などに還元されます。

参考:ロート製薬株式会社「働く環境」

(2)株式会社デンソー

株式会社デンソーでは、従業員一人ひとりが抱える不安に対し、様々な制度を提供することでこの挑戦をサポートしています。

具体的な取り組みは、以下の通りです。

株式会社デンソーでの主な取り組み

  • 産休・出産休暇
  • 育児休暇・休職
  • 再雇用制度
  • 副業制度
  • 同性パートナー制度

出産や育児のほか、介護や配偶者の転勤のため、退職や休職を選択した場合でも、一定の条件を満たすことで再び働くことをできる制度を設けています。

また、短時間勤務制度や遠隔地で働ける制度を整備。

仕事と家庭の両立や本業以外の仕事へのチャレンジ、LGBTQへの理解など、様々な角度から従業員の働きやすさと幸福度の向上を支援しています。

参考:株式会社デンソー「自分らしく活躍できる場所(D&I)」「多様な人材の活躍推進」

(3)イケア・ジャパン株式会社

イケア・ジャパン株式会社では「より快適な毎日を、より多くの方々に」というビジョンを掲げ、従業員のウェルビーイング実現に向けた取り組みを積極的に行っています。

具体的な取り組みは、以下の通りです。

イケア・ジャパン株式会社での主な取り組み

  • メンタルヘルスケアに関するウェビナーやトレーニングの実施
  • ヨガやマインドフルネスのセッションの開催
  • 有給休暇の取得推進
  • 従業員がいつでも相談できる体制の構築

上記のほかにも、食事補助に加え、事業所内保育施設やオンライン学習ツールの無料提供など、働きやすさと満足度を高める取り組みを行っています。

健康面での支援としては。定期的な健康診断や専門家からのアドバイスを受けられるヘルスケアサポートなども導入しており、あらゆるライフステージにいる従業員が自分らしく働けるようにサポートしています。

参考:イケア・ジャパン株式会社「イケアでの働き方」「イケア・ジャパンの福利厚生」

(4)明治安田システム・テクノロジー株式会社

明治安田システム・テクノロジー株式会社では、社員一人ひとりが自分らしく働けるために、ウェルビーイングの推進に取り組んでいます。

主な取り組みは、以下の通りです。

明治安田システム・テクノロジー株式会社での取り組み

  • テレワーク
  • 妊産婦通院休暇
  • 介護のための労働時間等の柔軟化
  • 食生活改善のためのアプリ導入
  • 運動習慣定着のためのイベント開催

仕事と生活を充実させるために、フレックス制度やテレワークのほか、様々な休暇を導入。

また、子育て中の従業員に対しては、始業時刻の繰り下げや育児のための短時間勤務を適用するほか、0歳児保育料補助制度、早期フルタイム復帰支援手当制度など、労働時間の柔軟化を促進しています。

さらに、運動習慣を定着させるため、ウォーキングキャンペーンやスポーツイベントなども定期的に開催しています。

毎年、社員意識調査を行うことで、従業員の満足度や負担感に影響する要因を把握・改善することに重点を置いています。

参考:明治安田システム・テクノロジー株式会社「ウェルビーイングの推進」「健康経営」

6.ウェルビーイング経営を成功させるポイント

ここでは、ウェルビーイング経営を推進するうえで 、押さえておきたいポイントを解説します。

主に以下の点を意識しましょう。

ウェルビーイング経営を成功させるポイント

  1. 経営層・マネジメント層の意識改革
  2. 労働環境の改善
  3. コミュニケーション機会の創出
  4. 女性のキャリアアップサポート

具体的にご説明します。

(1)経営層・マネジメント層の意識改革

ウェルビーイング経営は、経営層やマネジメント層が意識しながら取り組むべき施策です。

そのため、上層部の意識改革が必要不可欠です。

経営層が古い働き方にとらわれていては、従業員の労働環境や働き方の改善は望むことができません。

従業員のウェルビーイング実現を優先し、その考え方と行動が組織に浸透していくように努めることが重要です。

また、ウェルビーイング経営は中長期的な視点が求められます。

施策の策定や実施のためには、最初期に制度や仕組みづくりのためのコストを要する場合もありますが、継続的な取り組みにより企業全体の生産性と価値向上が望めます。

(2)労働環境の改善

ウェルビーイング経営を成功させるためには、労働環境を整備することが重要です。

労働環境の改善に向けて、長時間労働の是正や柔軟な働き方の促進に取り組みましょう。

また、家庭の都合などでフルタイム出社できない従業員に対して、フレックスタイムや時短勤務制度を導入するなど柔軟な働き方を取り入れることで、他の従業員に対して気兼ねなく仕事と家庭の両立を行うことができます。

労働時間や労働環境を改善することで、従業員のワークライフバランスの向上につながり、ウェルビーイング実現の第一歩になります。

そのためには、従業員に対するアンケート調査や意見募集を行うことも有効です。

経営層が把握しきれていない現場の現状や課題が浮き彫りになり、より従業員にとって働きやすい環境を調えることに活かすことができるでしょう。

(3)コミュニケーション機会の創出

職場内のコミュニケーションが低下すると、業務遂行に支障をきたすだけでなく、人間関係の悪化にもつながります。

また、職場の人間関係に起因するストレス増加は生産性の低下に直結してしまう恐れがあるため、社内でのコミュニケーション機会を作るようにしましょう。

コミュニケーションを活性化させるためには、社内イベントやメンター制度の導入がおすすめです。

さらに、談話室を設置したりするなど積極的にコミュニケーション機会の創出を図りましょう。

コミュニケーションが取りやすい環境を創出することでソーシャル・ウェルビーイングの要素が満たされ、組織経営を行う上でも重要です。

(4)女性のキャリアアップサポート

労働生産年齢が減少している中、女性のキャリアサポートを積極的に推進することは重要です。

女性は男性に比べて妊娠や出産などライフステージの変化が激しく、キャリアパスが上がるにつれて自身のセルフケアも後回しにしがちです。

このような状況は、仕事や家庭など様々な場面で充実感や満足感を感じ、幸福を追求することを目的とするウェルビーイングの本来の趣旨から離れてしまっているといえるでしょう。

そのため、女性のキャリアアップサポートを充実させることで、活躍を推進していく制度設計や仕組みづくりが必要です。

例えば、働き方に制約がある場合でも研修などが受けられるように、オンライン学習ツールを導入するなど、柔軟な働き方とキャリア設計のための仕組みを積極的に取り入れることが大切です。

また、そのような環境を整備した上で、若いうちから女性に責任のある仕事を任せることで、昇進への意欲を高めることができるでしょう。

結婚や出産などでライフステージが変化する前段階でキャリア志向を築くことができれば、意欲をもってスキルアップを目指す女性がさらに増えるでしょう。

なお、SBMラボでは、中堅層の女性社員・リーダー層の方々へ向けたウェルビーイング研修やセミナーを行っています。

経営層やマネジメント層からウェルビーイングの重要性を再認識し、自社の組織に取り入れてみてください。

ウェルビーイング研修やセミナーの詳しい情報はこちらをご覧ください。

まとめ

ウェルビーイング経営とは、企業の利益だけでなく従業員の幸福を重視する経営の考え方です。

近年、多くの企業が実現のために施策を導入し始めています。

ウェルビーイングを取り入れることで、従業員の働く意欲はもちろん、優秀な人員の確保・定着にもつながります。

本記事で紹介したウェルビーイング経営を実践している企業や成功のためのポイントを参考に、ぜひ取り組んでみてください。